北海道/釧路/木版画家/中川敏彦

北海道/釧路/木版画家/中川敏彦

透明水彩の妙

透明水彩を使って重ねた色の変化を楽しむ

f:id:toshibon818:20210208140744j:plain

 

 図書館で借りた本から実際に版を作ってみました
透明水彩を使って重ねた色の変化が楽しめます
色割の参考として今後使えますね!!
(参考文献 古谷博子 木版画を作ろう 阿部出版)

 f:id:toshibon818:20210208135132j:plain

原画です 黄色・赤・緑・青の4色を使って
 塗り重ねていく箱を作って 版木を彫っていきます

 概ねハガキサイズ  彫るところは省略

 

f:id:toshibon818:20210208135346j:plain
f:id:toshibon818:20210208135327j:plain

 

糊を水でといて、4色の絵具(ホルベイン透明水彩)を用意

 f:id:toshibon818:20210208140041j:plain

 

ハガキサイズにカットした和紙を新聞紙にはさみ霧吹きで湿しておきます

f:id:toshibon818:20210208140157j:plain
f:id:toshibon818:20210208140222j:plain

黄色から摺ります
 板に絵具と糊を置きハケでよくなじませ
 馬簾で摺りあげて まず黄色が終了

 ちなみにこの手順は江戸時代の浮世絵版画と同じです

 

f:id:toshibon818:20210208140358j:plain
f:id:toshibon818:20210208140427j:plain

 

黄色⇒赤⇒緑⇒青 の順に摺りました  摺る順序で出来の色味は変わると思います

 

f:id:toshibon818:20210208140552j:plain
f:id:toshibon818:20210208140615j:plain

 

f:id:toshibon818:20210208140702j:plain
f:id:toshibon818:20210208140722j:plain

 

青で完成
 黄色の変化がわかりやすいですね
 赤と青で紫はきれいですが赤と緑+他は
 ほとんど茶系でよくわからないです(笑)f:id:toshibon818:20210208140744j:plain

たまには道具たちのお世話

バレンの竹皮が痛んできていたので包みなおし!

ふだん何気なく使っているのですが、さすがに竹の皮も摩耗で穴が開いたり割れたりしてきます

そこで新しい竹皮に包みなおします

私が普段使っているバレンは直径13センチの大きさで道刃物工業㈱製の創作バレンでベタ版用のものです

摺り具合が気に入りずっと使っています

13センチというのも摺り師は男性が多く、男性の手になじむ大きさということでその大きさになったとの事 でも女性の摺り師もたくさんいますよ!

 

f:id:toshibon818:20210107115837j:plain

創作バレン 

当て皮はプラスチック、芯は塗装硬化させた紙ひも、それを竹の皮で包んでいます

f:id:toshibon818:20210107115906j:plain

本物の当て皮は和紙、蕨粉、渋柿、本絹、漆で作られ芯は竹の皮を割いて編んでこぶを作って巻いたものとの事

気が遠くなる手仕事の作品です、10万円以上というのも納得

私も本物は資料でしか見たことがありません

 

竹の皮は扱いがむずかしいので いつも うまく 包むことが出来ません

今回は竹の皮を水で十分湿し(一晩つけて置きました) 柔らかくし、

布でふき取り、ハサミの柄でしごいて 繊維を柔らかくしてやり、形を決めて

ハサミで切ります

芯を包んで縛って固定します 包むときに繊維に沿ってすぐ割れます

今回はなんとか 1回で2個包むことが出来ました

出来上がりはきれいではありませんが 十分使えます(笑)

f:id:toshibon818:20210107115941j:plain

 

もっともっと修行が 必要です (笑)

 

 

年賀状



11月くらいからさて年賀状はどうしょうかといつも悩む。

最近は版画で作品を作りそれを自分でデジタル化して印刷会社に必要な枚数をお願いし

てきた。表面に自分の住所をプリントし、手書きで一言を添えて宛先を書いて投函とい

うスタイルだった。

 頂く年賀状も様々で版画以外の知人も手刷りの年賀状を多く頂く。やはり手書きや手

作りを感じさせるものは頂いてうれしい !

中には表も裏もすべてパソコンで名前の一部も間違ったままというのもあるが・・・

昨今 メールが当たり前で手を掛けた年賀状はだんだん少なっていくのでしょう。

 今年は、仕事も辞めたことだし、原点に戻り、若いころのように全部手刷りでやって

みようかと思い立ち、ついでに過去の年賀状を整理してみた。

風景作品を抜粋して掲載します。30代~40代のときは280~320枚を手刷りしていた、

我ながらその時の根気とパワーに驚嘆です。

この年賀状たちが今の私の木版画人生の根っこになっています。

  

1989年           1990年          1991年

釧路米町にあった      釧路鶴ケ岱公園にできた   釧路愛国にあった

たかの旅館          鶴翔庵          とんがり帽子のサイロ

                            残念ながら焼失

                            版画のモチーフに随分

                            お世話になりました

f:id:toshibon818:20201210110930j:plain
f:id:toshibon818:20201210172809j:plain
f:id:toshibon818:20201210111006j:plain

 

 

1994年              1995年          1996年

釧路 港文館           新得方面のサイロ     釧路末広の料亭

啄木の縁がある旧釧路新聞社が   320枚×8色 2560回    

モデル 現在は資料館と喫茶    気の遠くなる摺り

f:id:toshibon818:20201210111024j:plain
f:id:toshibon818:20201210111039j:plain
f:id:toshibon818:20201210111056j:plain

 

 

1998年          2001年           2005年

富良野 六郷        釧路 米町展望台      釧路 米町展望台

北の国からのロケ地                   この作品から夕日の表現                

                             を研究して制作

f:id:toshibon818:20201210111113j:plain
f:id:toshibon818:20201210111144j:plain
f:id:toshibon818:20201210111206j:plain

 

 

 

会社の慰安旅行でスケッチ・写真から年賀状にした作品

2000年          2007年           2011年

長崎 眼鏡橋       沖縄琉球村のシーサー    宮崎 高千穂神社

f:id:toshibon818:20201210111129j:plain
f:id:toshibon818:20201210111224j:plain
f:id:toshibon818:20201210111237j:plain




たまには道具たちのお世話


日頃お世話になっている道具たちの手入れも大切です!!
彫刻刀の研磨です

自分でできるものを並べました。
ついでに包丁・ベティナイフも(笑)
三角刀は無理です!  (札幌宮文さんにお世話になっています)

 

f:id:toshibon818:20201113142838j:plain

 


最初は荒砥石でサッと研いで

 

f:id:toshibon818:20201113142955j:plain
f:id:toshibon818:20201113143014j:plain
f:id:toshibon818:20201113143036j:plain

 

つづいてフェルトのバフで磨きます
この音を聞いていると何故かアイスホッケーを
やっていた時のスケートの研磨を思い出します。

  

f:id:toshibon818:20201113144515j:plain
f:id:toshibon818:20201113144530j:plain

 

 これでピカピカ、版木もサクッサクッと彫れるでしょう!!

 f:id:toshibon818:20201113144722j:plain

ポストカード マーチン000-28エリック・クラプトン


自分のギターをデザイン化して版画を制作します

 

①原画を描
 写真や10年前の作品を引用しまとめていきます
 

f:id:toshibon818:20201112113528j:plain
f:id:toshibon818:20201112113548j:plain

 

前回よりボディとピックをやや大きくしました

f:id:toshibon818:20201112113606j:plain

 


②色分け
 転写をする前に 何版にするか考えます
 細い線が多いので板の目にも注意が必要です 
   ※板の目に直角に細い線は無理です  
    細い線は板目に沿って彫るのが原則

 4版にします
aボディ           黄色
bピック・ネック・ピックガード・罫線 明るい茶色
c字・フレット・全体の線     暗めの茶色
d弦             黒
   
③版木に転写

原画を4枚コピーします  (コンビニで大型機を使って)

版木にラッカーを塗り、コピーした原画を摺りこみます

f:id:toshibon818:20201112114211j:plain

 

 板の目を考えて4枚作ります
 彫りやすいようにブルーの絵具を塗ります
    ※彫った跡がわかりやすい

④彫
 abcdの4枚を彫っていきます

 

f:id:toshibon818:20201112114433j:plain
f:id:toshibon818:20201112114448j:plain
f:id:toshibon818:20201112114502j:plain

 

 

⑤摺り
 色のうすい順から摺っていきます

 aボディ の摺り

f:id:toshibon818:20201112114637j:plain
f:id:toshibon818:20201112114655j:plain

 

 bピック・ネック・ピックガード・罫線 明るい茶色

f:id:toshibon818:20201112114840j:plain
f:id:toshibon818:20201112114900j:plain

 


 c字・フレット・全体の線     暗めの茶色

                            d弦  ほぼ黒

f:id:toshibon818:20201112114957j:plain
f:id:toshibon818:20201112115025j:plain

 

4枚を並べるとこうなります  

もちろん 分解の仕方や色を変えると出来上がりも 違う雰囲気になりますね

前に戻りますが ②の色分けが初心者の方には難しいかもしれません

頭をひねりましょう(笑)

 

f:id:toshibon818:20201112115218j:plain

 

⑥調整
 出来具合を見て はみ出ているところなど あれば彫って調整します
 当初ボディに縦線を入れてましたがスッキリ 取ってしまいました

 クラック(割れ)のように見えました(笑)


f:id:toshibon818:20201112115455j:plain

 

⑦完成
 落款を押して完成 

f:id:toshibon818:20201112115608j:plain

とうがらし

コロナ退散の願をかけ 「とうがらし」 増刷 !!

彫は2013年1月 
白川郷に行った時の想い出として版画にしたもの

版木を丁寧に保存しておけば、いつでも摺ることが出来ます

 

f:id:toshibon818:20201108103231j:plain

 

順に摺りこんで行き

 

f:id:toshibon818:20201108103524j:plain
f:id:toshibon818:20201108103539j:plain
f:id:toshibon818:20201108103559j:plain

 

 最後は黒インクで終了

 

f:id:toshibon818:20201108143650j:plain
f:id:toshibon818:20201108143703j:plain
f:id:toshibon818:20201108143721j:plain

 

落款、サインで完成 !!

 f:id:toshibon818:20201109101209j:plain

 

冬の朝  制作過程 2/2

主版ができたので 薄墨の版を作っていきます

②薄墨版の制作
●主版から転写
・主版の摺った紙の下にカーボンを入れ、

 見当や薄墨をつけたいところを原画を見ながらなぞります
                       ・裏にカーボンで転写されました

f:id:toshibon818:20201014135418j:plain
f:id:toshibon818:20201014135436j:plain

 
・版木にカーボンをのせ、その上に裏側にした主版をのせて
 必要なところを書いていきます。

 

f:id:toshibon818:20201014140517j:plain
f:id:toshibon818:20201014140532j:plain

 

・薄墨をつけたいところを残し、後はひたすら彫ります
・赤いライトも表現したかったので もう一枚 版木を彫りました
・試し摺りをして薄墨版の完成です

 

f:id:toshibon818:20201014140641j:plain
f:id:toshibon818:20201014140657j:plain

 

③完成 10月14日
・越前和紙を用意します  見当は絵から3cm離しました
・薄墨版から摺ります 薄墨の色具合を見て 同じところを
 何度も摺りこむことがあります

f:id:toshibon818:20201014140731j:plain
f:id:toshibon818:20201014140827j:plain

 

薄墨版の完成

f:id:toshibon818:20201014140926j:plain


・ある程度 乾いたら 主版に黒インキをのせ、丁寧に余分な
 インキを取り 本摺りです
・シリアルナンバー(APにしました)、タイトル、制作年、サイン、落款を入れ完成

 落款は版画であまり入れないようですが個人的に好きで押印しています

 

f:id:toshibon818:20201014141020j:plain

 完成  

タイトル 「冬の朝」木版3版 画寸 縦50.0 横72.5cm  黒・青墨・キナクリドンスカーレット